ご相談内容
【ご依頼者】Xさん(30代女性)
【家族構成】夫Aさん、子1人
Xさんは夫Aさんと結婚し、子供も産まれ、幸せな生活をおくっていました。
Xさん夫妻は引っ越しをすることになり、XさんがAさんの荷物を整理していたときのことです。
女性YさんからBさんに宛てた手紙が出てきました。この手紙は、不貞行為を強く疑わせる内容のものでした。
手紙によると、AさんとYさんが交際を開始したのは、Xさんが結婚して間もなくのこと。
何通も手紙が出てきましたが、2人が別れたのは手紙を見つけた日からさかのぼって5年以上も前のことのようでした。
Xさんは、Yさんに対し、慰謝料を請求することを決意しましたが、「証拠が不十分なのではないか」、「時効が問題になるのではないか」と不安に思い、フォレスト法律事務所に相談されました。
弁護士の活動
① 証拠を補う活動
Xさんの持っている証拠はYさんの手紙だけであり、証拠としては強いと言えない状況でした。
仮にYさんが不貞行為を否定した場合、手紙だけで裁判を戦い抜くことは厳しかったです。
Xさんは、Aさんに秘密で慰謝料請求をする予定でしたが、全てをAさんに話してしまい、Aさんに不貞の事実を認めてもらうことで、手持ち証拠を補強する方針を取ることに。
Aさんは不貞の事実を認める内容の念書に署名してくれたため、Yさんに慰謝料を請求する通知書を送付しました。
案の定、Yさんは不貞の事実を否定しましたが、Aさんも不貞の事実を認めていることを伝えると一転して不貞の事実を認めました。
② 「不貞行為を知って間もないこと」を示す活動
Xさんが不貞行為を知ったのは、Yさんの手紙を見つけたことによるものです。
しかし、いつ手紙を見つけたかなど、明確に証明する術はありません。
そこで、手紙を見つける前まではAさんとの関係が良好であったことを示すことで、「3年以上前に手紙を見つけて不貞行為を知っていれば、ここまで夫婦仲が良いはずがない」と言い、間接的に不貞を知ったのが最近であることを示すことにしました。
このように主張したところ、Yさんは時効を強く主張することはありませんでした。
③早期解決の実現へ
Xさんは、Aさんの不貞が突然発覚したことで、精神的に大きなショックを受けました。
もちろん、Yさんのことは許せませんでしたが、Yさんとの紛争も大きなストレスとなっていたことから、早期に解決することを望んでいました。
そこで、弁護士は、慰謝料の金額を相場よりも低額にすることで、早期の和解を目指した結果、弁護士が依頼を受けてから1か月で慰謝料の支払いに関する合意を成立させることができました。
本件のポイント
① 証拠が十分とは言えない場合
Xさんのケースでは、証拠が手紙のみであったため、盤石な証拠があったとはいいがたい状況でした。
証拠が弱いという理由で、フォレスト法律事務所に来られる前に、いくつかの法律事務所で依頼を断られていたとのことでした。
確かに、証拠関係が強いに越したことはありませんが、諦めることなく、他の補強証拠を探す工夫は重要です。
なお、不貞行為の証拠については、以下のページで詳細に解説していますので、参照ください。
② 時効が問題となりそうなケース
慰謝料の請求権は、「①損害及び加害者を知った時から3年間、②不法行為の時から20年間」が経過すると、時効によって消滅してしまいます(民法724条)。
Xさんのように、時間が経過してから過去の写真、手紙などを見つけてしまったような場合は時効の問題に気を付ける必要があります。
時効が成立してしまえば、問答無用で請求額は「0」になってしまいますので、大きな問題です。
Xさんのケースでは、夫婦仲が極めて良好であったことを主張していきましたが、ケースバイケースで主張内容は工夫できる余地があると思います。