モラハラとは?
モラハラ(モラルハラスメント)とは、主に精神的な攻撃や圧力を行うことで相手を追い詰める行為をいいます。
モラハラと一口に言っても、言葉による侮辱や批判、無視、脅迫、精神的なコントロールなど広い範囲の意味合いが含まれて使われています。
一般的に、以下のようなものが含まれると考えられています。
具体的な行動には、以下のようなものが含まれます:
- 言葉の暴力:侮辱、非難、恫喝、脅迫、否定的な評価など、相手を傷つける言葉を使うこと
- 感情的な操作:無視、感情を利用して相手を精神的に制御しようとすること
- 社会的な孤立:友人や家族との接触を制限し、孤立させること
- 経済的な支配:経済的に依存している状態を利用して、相手を服従させること
これらの行為は通常、一度の出来事ではなく、繰り返されることが通常です。
モラハラは肉体的な暴力が伴わないため、外からは見えにくいという特徴がありますが、肉体的な暴力と同じ程度又はそれ以上に被害者の精神面に重大な影響を与え、自尊心の低下やうつ病を引き起こす危険があります。
モラハラが深刻な問題となるのは、時間が経過しても肉体的な傷と異なり、精神的な傷が回復するとは限らないためです。
また、現代社会では「モラハラ」という言葉が一般的に使われるようになった結果、「モラハラ」が持つ意味が広くなりすぎてしまい、本当に酷い被害が生じていても理解されにくくなってしまうという問題もあります。
モラハラ離婚が難しい理由
モラハラを原因とする離婚は一般的に難しいとされています。
まず、モラハラ離婚を難しくする要因を見ていきましょう。
難しくする原因が分かれば、その対策がしやすくなります。
① 「モラハラ」の明確な基準が存在しない
法律上、モラハラは明確に定義されておらず、基準も存在しません。
「ここまでしたらモラハラ」のように分かりやすい基準がないことから、モラハラに当たるかどうかはどうしても主観的な判断となってしまいます。
② 実被害が見えにくい、理解されにくい
「モラハラ」という言葉は世間一般で使われるようになり、特殊な言葉ではなくなりました。
インターネット上でも「モラ夫」、「モラハラ妻」などの言葉が並び、モラハラチェックリストなるものもあるようです。
このように、モラハラという言葉が広く使われるようになってしまった結果、「モラハラ」という言葉の意味が使う人によって全然違う意味になってしまっています。
例えば、友人や知人からモラハラの悩みを聞いたとき、話す本人が思う程には深刻に思えなかったという経験をされた方も多いのではないでしょうか?
逆に、話す本人は深刻に考えておらず「普通のこと」と思っていても、聞いている他人からすれば大問題だということもよくあることです。
モラハラは、DVなど身体的な暴力を伴う場合と異なり、外見的には判別しにくく、本人の言い分によって被害の程度を裁判所などの第三者に説明していくことになります。
ただ、被害の程度をモラハラの現場にいなかった第三者に説明をし、理解や共感を得るということは簡単ではなく、専門家の対応が必要となる部分であるといえます。
③ 証拠が集まりにくい
モラハラは言葉によるものであり、その現場も家庭内などの密室で起こるため、具体的な証拠は集めにくいものです。
実務上、モラハラの証拠として、相手が怒っている録音などが提出されることがありますが、録音証拠は限られた一場面を切り取ったものに過ぎないため、録音証拠だけでモラハラが立証しきれるということは少ないでしょう。
モラハラ離婚に向けた準備、対策
モラハラを原因として離婚をすると決めた後、以下の順序で検討をしてみましょう。
① 証拠を集める
離婚を進めるためには、まずはモラハラの証拠を集めることが重要です。
証拠として有効なのは、録音、録画の他、相手とのメールやLINEのやり取り、自身で作成した日記などです。
証拠を集める際には、法律に抵触しないように気を付けましょう。不当な手段で証拠を収集したことが発覚すれば、かえって不利な立場になってしまいます。
② 証拠を集めることができない場合
証拠が十分に集まらない場合でも、第三者に対して相談したメール、心療内科の診断書など間接的な証拠がないか探してみましょう。
全く客観的な証拠がないケースでも、フォレスト法律事務所が介入し離婚判決を獲得したケースも存在するため、諦めず相談ください。

配偶者が離婚したがる場合
相手から離婚するよう言ってきた場合で、あなたも離婚を望んでいる場合、すぐに離婚が成立するか、離婚に応じるべきかはケースバイケースです。
というのも、モラハラ事案では相手が「離婚だ」と言い出すものの、こちらが離婚に応じると答えると激怒し出すということがよくあります。これは、離婚ということによって、相手をコントロールしようとしていることによるものですが、「離婚だ」と言われた場合にはどこまでその意思があるのかを見極める必要があります。
また、仮に離婚の意思があるとしても、一方的な条件(例:財産分与を一切支払わない/相場の金額の倍以上の支払いを請求する)がセットになっていることがあるため、本当に離婚に応じるべきなのかどうかは注意深く見る必要があるでしょう。
実際に離婚が成立する段にあっては、書面で離婚条件を決めておけば離婚後の紛争を回避することができます。
モラハラ離婚の流れ
① 弁護士の有無を決める
まず離婚手続を進めるにあたって、「弁護士に依頼をする」、「弁護士に依頼はしないが相談しながら進める」、「自分一人で進める」のかによって、進め方は大きく異なります。
モラハラ離婚の場合、冷静な話合いが成り立たないことが多いため、弁護士に依頼するか、少なくとも進め方を相談しながら対応することをお勧めします。
② 法律事務所や弁護士の選び方
モラハラ離婚に詳しい弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士がその分野に詳しいかどうかを見極めることは難しいですが、最も簡単な見分け方は、「その弁護士が解決した事例を聞くこと」です。
もちろん守秘義務の関係で、全てを大っぴらにすることはできませんが、似たようなケースを扱ったことがあるのかどうか、その分野を得意としているかどうかは分かると思います。
また、離婚手続を進めるに当たり、どのような方針を取るのか、弁護士と依頼者のコミュニケーションの方法などは弁護士によって異なります。自分に合った方法を取る弁護士を探しましょう。
③ 離婚を切り出す方法、タイミングを決める
まず、離婚を切り出す方法、タイミングを考えます。
この時点で同居をしている場合、別居するかどうかも考えておきましょう。
弁護士が代理人として就いている場合、ご本人ではなく弁護士がかわって離婚を切り出すことが通常です。
他方、弁護士が就いていない場合は自分で切り出す必要があるため、どのような方法を選択するかについてはよく考える必要があります。
④ 状況や請求内容に応じて、調停へ移行するかどうかを決める
離婚を切り出した後、相手が離婚に応じるということであれば問題ありませんが、モラハラを原因とする離婚はスムーズに進まないことの方が多いです。
離婚を切り出した後、相手とのやり取りを重ねたものの、自分が望む結論とならない可能性があります。
そのようなとき、「それでもいいから離婚したい」とするのか、「自分の希望を叶えるために調停を申し立てる」となるかは具体的な状況や請求している内容によって異なります。
離婚協議は、締め切りの時間がないだけに、長期化してしまうと無制限に協議が続いてしまうことにもなります。早期の解決を望まれている方こそ、調停へ移行するタイミングを適切に選択する必要があります。
⑤ 離婚が成立した後のことについても気を付ける
離婚が成立すれば全て解決というわけにはいきません。
調停や裁判で離婚をした場合、財産分与、慰謝料、養育費などの金銭的な条件はきっちりと書面(調停調書、判決書)に明記されるため、問題となりにくいです。
他方、お子さんをどちらの扶養として手続をするのか、面会交流に関連した連絡時のルール、住所・連絡先を変更した場合に知らせるかどうかなど、金銭以外の問題については明確に決められないことも多く、離婚後に新たな紛争が発生してしまうこともあります。
あくまで離婚がゴールではなく、再スタートなので、離婚をすることで安心してしまうのではなく、離婚後の生活が安心できるものとなるよう最後まで気を抜かずに注意しておく必要があるのです。
モラハラ離婚に踏む出すために心掛けること
離婚後の生活費の確保
モラハラ離婚を前提として別居を開始した場合、相手の方が収入が大きければ生活費(婚姻費用)を請求することができます。
また、離婚後の生活費を確保するためには、財産分与や養育費の取り決めをしっかりと行うことが重要です。弁護士と相談しながら、生活費の見通しを立て、必要な手続きを進めましょう。
また、離婚が成立するまでの間に再就職や収入を増やす方法を検討してみましょう。
子どもへの影響を軽減する
モラハラ離婚の問題は子どもに対して精神的な影響を与えることがあります。
可能な限り子どものストレスを軽減することが求められます。
お子さんの年齢や性格にもよりますが、希望される場合、私がお子さんと直接お話し、悩みや不満をぶつけてもらうこともあります。
モラハラ離婚の実例
モラハラ離婚の実際の体験談や成功例を読んでみることは、精神的な余裕につながる可能性があります。
しかし、体験談の中にはどこまで本当のことを書いているか分かりませんし、成功体験を得られた自信から誇張して書かれていると思われるものも散見されます。
あくまで客観的に記載された実例を読むことに留意する必要があります。
なお、私が取り扱ったモラハラ離婚のうち、証拠が限られていたものの離婚を実現できたケースをご紹介します。

よくある質問
モラハラ離婚について、よく頂く質問について回答します。
モラハラとDVの違いは何ですか?
モラハラとDV(ドメスティック・バイオレンス)は、いずれも配偶者による暴力行為ですが、その内容や影響に違いがあります。モラハラは精神的な虐待が中心であり、言葉や態度で相手を追い詰めます。一方、DVは身体的な暴力を伴う虐待を意味して使われることが一般的です。
男性がモラハラの被害者になることはありますか?
あります。
モラハラは男女かかわらずその被害者となります。
近年は、モラハラ被害に遭った男性が精神を病んでしまい日常生活が送れなくなってしまった、毎日精神的に追い詰められてしまい、とにかく話を聞いてほしいという方が来られることも増えました。
モラハラよりDVの方が離婚しやすいですか?
どちらが優位ということはありません。
「DV」「モラハラ」という言葉ではなく、実際にどのようなことがあってどのように辛い思いをしたのか、それをどのように第三者に説明するかこそが重要です。
モラハラで離婚したいのですが、どう進めればいいですか?
弁護士に相談することをお勧めします。
モラハラのケースは多種多様であり、法律的に見たときにどのような評価をされるのかはモラハラ離婚を多く取り扱った経験のある弁護士しか判断できません。
客観的な評価を得ることは、解決に向けた必要不可欠な条件ですので、依頼の有無を問わずまず弁護士に相談することをお勧めします。
夫(妻)のモラハラが酷く、いつも馬鹿にした発言を受け、離婚も言われています。しかし、自分から離婚を求めたら離婚に応じてくれません。なぜでしょうか?
実際にどのようなことを考えているかは本人にしか分からないことですが、自分の優位性を示し、相手を追い詰めるために、本心では離婚をするつもりがないのに離婚を言っている可能性があります。このような悩みを持たれている方は多いですが、考えても相手の真意は分かりませんので、あまり考えすぎず、自分ができることを淡々とこなすことが重要です。
モラハラはどの程度のものであれば離婚できますか?
モラハラ以外の事情(別居期間、暴力など)と合わせて、夫婦関係が修復できない程度に破綻しているかどうかが基準となります。
実際の事例で、モラハラ離婚が認められるかどうかは専門的な判断となりますので、経験のある弁護士に相談しましょう。
モラハラの問題は思ったよりも難しい
ここまでモラハラ離婚について解説をしてきました。
「モラハラ」という言葉が日常的に使われるようになったことで、モラハラ被害の深刻さを第三者に伝えることは難しくなりました。
モラハラ離婚こそ弁護士に相談すべき類型ですのでお悩みの方はフォレスト法律事務所にご相談ください。





