値動きの大きい株式を含む財産分与を処理したケース

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ご相談内容

【ご依頼者】Xさん(30歳代 男性)

【ご家族構成】Yさん、子1人

妻Yさんは、Xさんとの離婚を求め、離婚調停を申し立てたものの、Xさんは離婚を拒否。

調停は不成立となり、Yさんは離婚訴訟を提起しました。

Xさん、Yさん共に大量の国内外株式を保有しており、財産分与の算定において株式をいつの時点の価格で金銭評価するか争点となりました。

弁護士の活動

裁判では双方が主張を出し尽くし、和解の協議が進められました。

保有株式の株価について、裁判所は和解協議日の時点の株価で算定してはどうかと打診し、Yさん側はこれに同意しました。

しかし、この数日間でXさんが保有する銘柄の中で、株価が急騰したものがありました。この上昇は一時的なものであり、時間が経過すれば元に戻ることが予想されました。

株価が元に戻ってから和解を成立させるということも考えられましたが、Xさんが早期の和解を望んでいたため、この方法は取れず。

私は、株価の上昇が一時的なものであり、いつ和解をするかによって大幅に財産分与の金額が動いてしまうことは不当であるとして、数か月間の平均によって株価を算定すべきであると主張しました。

Yさん側も特に反論することはなかったため、当方の意向に沿った和解が成立しました。

本件のポイント

上場株式のように、日々財産価値が変動する財産については、別居日時点ではなく、最新の価格で財産を評価することが一般的です。

しかし、この考え方によると、離婚する日(裁判であれば弁論終結日)が1日ズレるだけで財産分野の金額が数百万円変わるということもあり得ます。

また、この考え方に基づき双方が行動すると、株価や為替が自分に有利かどうかが判断基準となってしまい、離婚の場面に投機的な側面が生じることとなってしまいます。

本件では、株価が一時的な要因で上がったことを積極的に説明したことも理解を得られた一因でした。

この記事を書いた人

フォレスト法律事務所代表弁護士。
弁護士資格の他、ファイナンシャルプランナー、証券外務員一種、宅地建物取引士の資格を保有しており、不動産を含む経済的な問題を得意としています。
離婚・男女問題について、豊富な経験をもとに分かりやすく解説します。

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