ご相談内容
【ご依頼者】Xさん(30代男性)
Xさんは、友人と飲みに出かけたところ、場が盛り上がり、友人の女性友達を呼んで飲むことになりました。女性Aさんが合流した後は更に盛り上がり、Xさんの酒量も増えていきました。
解散となった頃には、Xさんは相当酔っており真っ直ぐ歩けない状態でした。
Aさんは下戸であり酒を飲めなかったため、AさんがXさんを駅まで送る流れとなりました。
ここからのXさんの記憶は曖昧でしたが、Aさんと移動する途中にホテルがあったため、一緒に入り、肉体関係に至ってしまいました。
その後、XさんがAさんと会うことはありませんでしたが、1か月経った頃、Aさんの夫であるBさんがXさんのもとを訪れ、不貞行為の慰謝料を支払うよう求めました。
Xさんは、不貞行為を行ったことは事実であるものの、既婚者であることを知らずに行ったことから、慰謝料の支払いを拒否したいと考え、フォレスト法律事務所に対応を依頼しました。
弁護士の活動
① 方針の決定、交渉
一般的に「既婚者とは知らなかった」という主張は通りにくいものとされています。
しかし、Xさんの話しを聞くと、Aさんが既婚者であると知る機会はなかったですし、Aさんの写真を見ても既婚者と疑わなかったことも無理がないと思われました。
Xさんに対しては、一般的に「既婚者とは知らなかった」との主張が認められにくいことを説明した上で、実際には知らなかった以上、慰謝料の支払いに応じられないという主張をしていく方針を立てました。
弁護士が、Bさんに対し、慰謝料の支払いに応じられないと通知書面を送ったところ、すぐにBさんの代理人弁護士から反論の書面が届きました。
Xさんは、知らなかったとは言え、不貞行為をしたことでBさんを傷つけてしまったことは事実であると考え、迷惑料を支払うという考えもありました。
しかし、Bさんが主張する金額は、慰謝料の相場と比較しても相当高額な金額であったため、条件は折り合わず、Bさんは裁判を申立てました。
② 裁判
裁判では、Aさんが既婚者であることをXさんが知っていたかが争点となりました。
弁護士は、Xさんの当日の行動を時系列に沿って説明し、Aさんが既婚者であると知る機会がなかったことを丁寧に主張しました。
判決は、Xさんの主張を全面的に認め、慰謝料の支払義務はないとの結論が出されました。
本件のポイント
不貞行為の慰謝料請求が認められる要件の一つに、「不貞行為の相手が既婚者であることを知っていた、又は知ることができた」という事情があります。
不貞行為の問題では、よく「既婚者とは知らなかった」という主張が出てきますが、裁判所がこの主張を認めることは少ないです。
Xさんの裁判においても、当初裁判官は、Xさんの主張を認めない雰囲気を出していましたが、当日の状況を細かく・具体的に説明したことで裁判所の理解を得ることができました。
Xさんは、酔っていて記憶が曖昧な部分がありましたが、諦めずに当日のことを思い出し、説明してくれたことが大きかったといえます。
状況的に「既婚者とは知らなかったし、知ることもできなかった」という状況に置かれている方は、諦めずに弁護士に相談されることをお勧めします。