婚姻費用をもらい、離婚しないことを選択したケース

女性
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ご相談内容

【ご依頼者】Aさん(30代女性)

【家族構成】夫Bさん

Aさんは、結婚を機に仕事を辞め、北海道から夫Bさんの住む愛知県に転居しました。

しかし、転居して間もなく、Bさんは家に帰らなくなりました。

AさんはBさんの不貞を疑ったものの、確たる証拠はなく、2人の関係は日に日に悪化することに。

Bさんは、急に別居を開始し、弁護士を通して離婚を求めました。

Aさんは、どうしていいか分からずフォレスト法律事務所に離婚協議を委任しました。

弁護士の活動

初めて弁護士がAさんとお会いした際、最も気になったのは「Aさんが離婚したいか否か」でした。

Aさんは「自分でもどうしたいのか分からない」と答えたものの、お話をお聞きしていくうちに将来に対する経済的な不安が一番の問題点であることが分かりました。

そこで、Aさんが取る方針を「経済的な不安が解消されるのであれば離婚、そうでないならば婚姻費用をもらい、離婚をしない」と決めました。

Bさんは会社経営者であり、個人の資産も多く保有していたため、Aさんが経済的な不安を感じない程度のお金を支払うことも可能であるとの予測もありました。

しかし、Bさんは、「離婚原因は、Aさんのモラハラにあることから慰謝料を支払う義務はない、結婚期間も短く財産分与として多額の金銭を支払う義務はない」として、解決金として100万円しか支払う考えはないと主張しました。

長年続けた仕事を辞め、地縁のない愛知県に転居したAさんにとって、100万円で将来の経済的な不安を解消することはできません。

もっとも、Bさんが主張するAさんのモラハラは、どれもAさんにとって身に覚えのないものばかりであり、Bさんの主張を見る度にAさんの気持ちは沈んでいきました。

「身に覚えのないモラハラを言われるぐらいであれば100万円で縁を切りたい」、「でも100万円だけでどうやって今後生活していけばいいのか」。

長期間葛藤した末、離婚に応じず、婚姻費用を受取り、自分の生活基盤が整った段階で離婚をするという結論を出しました。

弁護士は、Aさんの意向を尊重し、婚姻費用の支払いに関する合意のみをまとめ、離婚には応じられないという結論で離婚協議を終結させました。

本件のポイント

離婚に応じるかどうかは、感情面と同じくらい経済面も大きな問題となります。

Aさんは離婚問題が始まって以降、いわれのないモラハラで責められ、精神的に追い詰められてしまいました。

Aさんは何度も「離婚して解放されたい」と言っていましたが、弁護士との打合せを何度も重ねることで冷静に状況を見つめ、結論を出されました。

弁護士の立場としては、離婚を受け入れる、受け入れない、どちらの選択肢もあり得るものでした。

Aさんは、結果的に離婚をしないという結論を取りましたが、同様のケースでお悩みの方は、離婚をする/しないというどちらの結論を取ることもできるように、離婚協議の初期の段階から準備をしておくことが重要です。

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