不貞行為を否定する相手に不貞行為の存在を認めさせ、婚姻費用の支払いをゼロとしたケース

ゼロ
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ご相談内容

【ご依頼者】Aさん(30代男性)

【家族構成】妻Bさん

Bさんは、別居後、Aさんに対し、婚姻費用の分担を求める調停を申し立てました。

Aさんは、別居後、Bさんの行動調査を探偵に依頼したところ、Bさんが不貞行為をしているとの調査結果が出ました。

Aさんは、婚姻費用調停の対応とBさんとの離婚問題についてフォレスト法律事務所に依頼しました。

弁護士の活動

① 婚姻費用分担調停

婚姻費用の調停では、Bさんが有責配偶者に該当することから、Aさんに婚姻費用の支払義務がないことを主張しました。

Bさんは、不貞行為は別居後から始まったものであり、別居の原因はAさんのモラハラが原因であるとして、婚姻費用の支払義務があると主張しました。

探偵の調査結果は、別居後のものしかありませんでしたが、Aさんは、Bさんと不貞相手との間のメールのやり取りを保存していました。

メールの内容からすると、別居前から不貞行為があったと考える他なく、Bさんの主張が虚偽のものであることが明らかとされました。

② 離婚調停

Aさんは、Bさんとの離婚を求め、離婚調停を申し立てました。

Bさんの不貞行為が明らかとなり、Aさんは離婚慰謝料を求めることができる立場にありました。

弁護士からは、慰謝料を請求することをお勧めしましたが、調停が長期間となり心労が大きくなっていたこと、お金よりも早期に第二の人生をリスタートしたいという思いが強くありました。

そこで、弁護士は、

  •  Aさんは、Bさんに対して慰謝料を請求しない
  •  Bさんは、Aさんに対して婚姻費用と財産分与を請求しない

という条件を設定しました。

Bさんも、弁護士の提案にメリットがあると考えたため、調停が無事成立しました。

本件のポイント

① 有責配偶者からの婚姻費用請求

不貞行為のように、離婚や別居の原因を自ら作った側を有責配偶者といいます。

有責配偶者が、婚姻費用の分担を請求することはできません。

本件のように、別居後の調査で不貞行為が判明したケースでは、「別居の原因は不貞行為以外の原因である」という主張がされることがあります。

ケースバイケースですが、このような主張が通ってしまうケースもあるため、本件では別居前からBさんの不貞行為が存在していたことを丁寧に論じたことから、Bさんも不貞行為があったことを認めざるを得なくなりました。

② 早期に離婚調停を解決に導いた方法

離婚の条件設定は、単純に経済面だけを追求すべきではないと考えます。

本件で経済面を重視するのであれば、慰謝料を請求すべきでした。

もっとも、Aさんの心情からは、本件を長期化するよりも、多少経済的に損をしてでも早期にBさんとの離婚を実現すべきであると判断されました。

そこで、慰謝料請求をしない代わりに財産分与を支払わないとする条件を設定しました。これは、Aさんの経済的な損失を軽減化するとともに、財産分与の審理にかかる時間を丸ごとカットしてしまい、早期に調停を終了させるという二重のメリットがありました。

「最良の離婚条件」は、人によって、状況によって異なるため、弁護士が依頼者の意向を注意深く汲み取って条件を設定することが重要です。

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