幼い頃に別れてから数年経った後、調停で面会交流の合意を成立させたケース

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ご相談内容

【ご依頼者】Aさん(20代女性)
【家族構成】元夫Bさん、子2人

Aさんは10代で2人の子どもを出産しました。
出産してまもなく、Aさんは精神状態が不調となりました。
Aさんの不調は日に日に悪化し、子の前で自殺未遂をし、入院することになりました。
入院中に、AさんはBさんと離婚をし、Bさんが子2人の親権者となりました。

退院後、Aさんは居住していた九州から愛知県に移住し、仕事をしながら精神状態が安定するよう努めていました。
そして離婚をして5年が経った頃、Aさんは生活や精神状態が安定したことをきっかけに、子どもと会いたいと望むようになりました。

Aさんは、Bさんに連絡を取り、子どもに会わせてほしいとお願いしましたが、Bさんは面会させることを拒否し、二度と連絡してこないように言いました。
面会交流を諦められなかったAさんは、フォレスト法律事務所に相談し、面会交流の実現に向けて活動することを委任しました。

弁護士の活動

私がまず考えたことは、Bさんとの協議を裁判所外で行うか、家庭裁判所の調停で行うかという点でした。

Bさんの面会交流に対する拒否感は非常に強く、裁判所外で交渉することは困難と思われたことから、すぐに家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てることにしました。

① 調停での協議

想定していたとおり、Bさんは面会交流を実施することを強く拒否しました。
また、裁判所は、Aさんが過去に子の面前で自殺未遂をしたことを重く見ており、「現在のAさんの精神状態が面会交流に耐えられるものであるのか」、「面会を実施することによって子の精神状態に悪影響が出ないか」という点に不安を持っていました。
調停での協議は難航し、1年程度は膠着状態となりました。

その間、Aさんは、九州の裁判所まで出向き、調査官の調査に応じました。
また、調査官と弁護士は電話で協議をし、Aさんの精神状態が安定しているのか、どのように面会交流を実施することが妥当かを検討しました。

協議や調査の結果、九州の裁判所で試行的に面会交流を実施してみて、子の様子を見てみることになりました。

② 裁判所での試行面会

九州の家庭裁判所で試行的な面会交流が実施されました。
Aさんは、数年ぶりに子と会うことから非常に緊張していました。

試行面会では、まずBさんが子と遊んでいる様子を隣接する観察室から観察することで始まりました。
Aさんは、成長した子の様子を見て涙が止まらなくなりました。

その後、AさんがBさんと入れ替わりで部屋に入り、子どもと対面しました。
子どもがAさんを見ても認識できないのではないかという心配をもありましたが、子どもはAさんの姿を見るとAさんの元に駆け寄り、Aさんとの再会を喜びました。
試行面会は、子どもの拒否やAさんの精神状態が不安定になることもなく、無事終了しました。

③ 調停の成立へ

試行面会後、家庭裁判所調査官は、「Aさんが子どもと面会交流すること自体は支持するものの、どのように実施すべきかについては慎重に協議すべきである」という意見を出しました。

この調査結果を受けて、Bさんは、Bさんの立ち会いなしでの面会交流に強く反対しました。
裁判所も、Bさんの立ち会いなしでの面会には不安があるとのことで、Bさんの意向を支持しました。
Bさんの居住地周辺にはFPICのような第三者機関がないため、面会交流を実施するためにはBさんの立ち会いが不可欠となりました。

Aさんは、Bさんが立ち会うことにプレッシャーを感じるものの、子どもと会うことを優先し、Bさんの立ち会いを受け入れました。

また、Aさんが、Bさんの居住地に毎月赴くことは現実的でなかったため、年に2回程度Aさんが九州に行って子どもと会い、他の期間についてはBさんがAさんに子どもの写真を送るという内容で調停が成立しました。

本件のポイント

当初、裁判所はAさんの請求を退け、写真の送付のみを行う間接交流の方法が妥当と考えていたようです。
しかし、Aさんが調査官の調査にも誠実に応じ、精神状態に問題が見られないことを示せたこと、弁護士としては面会交流の実施を急ぐのではなく、まずは面会交流を実施しても問題ないということをBさんと裁判所に理解してもらうことに努めたことが試行面会につながり、その後の調停成立を導くことができました。

Aさんの状況は、直接面会を実施するには非常に困難なものでしたが、直接交流を諦めなかったことで調停成立に至りました。
試行面会の様子を見ると、子どもにとってAさんと直接面会することが好ましいことは明らかであったため、当初の裁判所の見解を覆すことができたことには大きな意味がありました。

同様のケースでお悩みの方はぜひご相談ください。
また、面会交流の方法や進め方について解説したページも参照ください。

この記事を書いた人

フォレスト法律事務所代表弁護士。
弁護士資格の他、ファイナンシャルプランナー、証券外務員一種、宅地建物取引士の資格を保有しており、不動産を含む経済的な問題を得意としています。
離婚・男女問題について、豊富な経験をもとに分かりやすく解説します。

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