家庭内での暴力や虐待に耐え続ける日々は心身ともに大きな負担となります。
そんな中、離婚を考えることは勇気ある一歩です。しかし、「具体的にどのように進めれば良いのか」、「今よりも悪い状態になってしまうのではないか」と不安や恐怖で一歩を踏み出せないことも多いでしょう。
このページでは、DVに悩み、離婚を検討し始めた方々が安心して次のステップに進めるよう、手続きの流れや法律上のサポートについて丁寧に解説しています。
DV被害は他人に相談しにくいものですが、このページがこれから一歩を踏み出そうとしている方の助力になれば幸いです。
最初に行うべきことは「安全の確保と信頼できる相談先」
DVに悩んでいる方が最優先にすべきことは「安全の確保」です。
今すぐ避難が必要な場合、お近くの配偶者暴力相談支援センターに連絡してみてください。ここでは、あなたの不安や悩みに耳を傾け、適切なサポートや避難場所(シェルター)を提供してくれます。
また、「弁護士に相談するのは難しそう」「どこに相談していいかわからない」という場合でも、まずは電話をしてみてください。フォレスト法律事務所では予定が合えば即日のご相談も可能です。
「怖い」、「一人で行動するのは不安」という方も多いと思いますが、支援機関、弁護士を頼ることで危険な状態から抜け出すことは十分に可能です。
このように、身の安全を確保するために、信頼できる相談先を確保することが最優先事項ですし、これができれば今後大きく安心することができます。
DVとは?
DVは、英語の「domestic violence」(ドメスティックバイオレンス。直訳で家庭内の暴力)を言い、「配偶者や恋人など親密な関係にある、または過去にその関係にあった者から振るわれる暴力」を意味します。
DVの種類
DVは、態様によって以下のように分類されます。
- 身体的暴力: 殴る、蹴る、首を絞める、押し倒す、髪を引っ張るなど、身体に対して直接的な有形力を行使する行為
- 精神的・心理的暴力: 怒鳴る、脅す、侮辱する、物を投げる、無視するなど、精神的に苦痛を与える行為
- 経済的暴力: 生活費を渡さない、金銭を管理する、働くことを妨げるなど、経済的に支配する行為
- 性的暴力: 性行為を強要する、避妊を拒否するなど、性的な面での暴力
- 社会的隔離: 外部との接触を制限する、友人や家族との関係を断つよう強要するなど、社会的に孤立させる行為
- 子どもを利用した暴力: 子どもを介して相手をコントロールする、子どもに暴力を見せるなど
DVはこれらのうちのいずれかが単独で行われることもあれば、複数が組み合わさって行われることもあります。
DVの被害は身体的な傷だけでなく、精神的なトラウマや経済的な困窮など、長期的に深刻な影響を及ぼします。
DVとモラハラ(モラルハラスメント)の違い
モラハラ(モラルハラスメント)という言葉を耳にすることも多く、DVとの違いが分かりにくいかも知れません(両者を区別せずに使っているものも目にします)。
モラハラは、モラルハラスメントの略であり、精神的な嫌がらせや暴言、無視などによって、相手の心を傷つける行為を指します。
DVは上で見た通り、肉体的・精神的な暴力を含むものであり、モラハラと重複する部分もありますが、肉体的な暴力の有無が明確な違いといえます。
また、DVについては、配偶者暴力防止法等によって接近禁止命令等の保護が用意されていますが、モラハラについてはこのような特別な法律がないというのも明確に異なる点です。
DV離婚の方法
DVを原因に離婚をする場合、大まかに以下の流れを取ります。
もちろん、個別の事情によって進め方は異なるため、疑問点がある場合はすぐに弁護士にご相談下さい。
① 相談と準備
まず、DV被害を受けていることについて、専門の相談機関や弁護士に相談することから始めます。
配偶者暴力相談支援センターや弁護士に相談することで、具体的なアドバイスやサポートを受けることができます。
② 証拠の収集
DVを理由に離婚を進めるためには、DVの証拠を集めることが重要です。
証拠は、以下のような資料が使われることが一般的ですが、これに限りませんので、ご自身が持っている資料が証拠となり得るかどうかは弁護士に確認してください。
- 医師の診断書
- 医師、臨床心理士に話した内容を記載したカルテ
- DVの様子を記録した写真やビデオ
- DVに関する日記やメモ
- 目撃者の証言
③ 別居
離婚の話を進めようとするとDVが過激化する恐れがあるため、別居をする必要があります。
別居先の住居の確保が難しい場合、配偶者暴力相談支援センターに相談し、保護施設(シェルター)の入所を進めてもらいます。
保護施設以外に行く先がある場合は、別居を実行する前に弁護士に相談し、別居までのこと、別居以後のことについて具体的な進め方を相談しましょう。
④ DV等支援措置、保護命令の申請
別居をした先に住民票を移した後、相手に住民票が見られてしまい、別居先に押しかけられてしまうことは避けるべきです。そこで、市区町村に対して、住民基本台帳事務におけるDV等支援措置(以下「DV等支援措置」といいます。)を申し出て、住民票の閲覧ができないようにする措置を講じてもらう必要があります。
また、裁判所に保護命令の申請をすることも検討しましょう。
保護命令は、加害者からの接触を禁止する命令であり、被害者の安全を確保するための措置です。
⑤ 離婚協議の開始(弁護士がいる場合)
別居し、DV等支援措置の申し出も完了したら、離婚協議を開始します。
DV事案では、弁護士が関与せず離婚協議をすることは現実的でないため、弁護士がいない場合は、次の6に進んでください。
DV事案において、弁護士が介入したことで短期間で離婚を実現できたケースも存在します。

もっとも、一般的にはDV事案では離婚の成立までが難航することが多いため、協議に時間をかけず調停を申し立てることが多いです。
⑥ 離婚調停の申し立て
相手の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停では、調停委員を介して双方の話し合いが行われますが、夫婦が別々の部屋に待機し、交互に調停室で話をするため、顔を合わせることはありません。
調停で離婚が成立しない場合は、裁判に進むことになります。
⑦ 離婚裁判
調停で合意に至らなかった場合、離婚裁判を起こすことができます。
裁判では、DVが「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが争われます。
裁判所がDVの存在を認め、これが「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たると認めれば、離婚を命じる判決が出されます。
離婚裁判では、財産分与や慰謝料、子の親権や養育費などの離婚に付随する問題についても議題に挙げることができます。
よくある質問
DVの証拠はどのように集めればいいですか?
DVの証拠として、最も強力なものは、DVの現場を録画したものです(次いで録音したもの)。
しかし、暴力を受けている中で録画したり録音することは非常に難しく、身の危険も生じてしまいます。そのため、無理に証拠を確保しようとせず、安全な方法で確保できる証拠に目を向けましょう。
具体的には怪我の写真(撮影日時、撮影場所等を記録したもの)と医療機関の診断書、日記などです。
これら複数の証拠を合わせて暴力の事実を証明していきます。
ポイントは、複数の証拠を組み合わせるという点です。例えば、怪我の写真だけであれば、「DVによってできた怪我ではない」と反論されてしまいますが、日記や診断書も合わせることによって、反論を封じることが可能となります。
DVを理由に離婚した場合、慰謝料は請求できますか?金額はどの程度になりますか?
DVによって離婚をする場合、慰謝料を請求できる可能性はあります。
慰謝料の金額は、DVの程度、期間などによって数十万円~数百万円と幅があるため、証拠により的確に被害の重大性を主張立証する必要があります。
避難先の実家や勤務先に相手が来てしまった場合、どうすればいいですか?
事前にDV防止法上の接近禁止命令を出してもらえば、相手も刑罰を科されることを嫌がり、押しかけてくことを抑止することが可能です。
この手続を取らないとしても、事前に警察に相談しておき、いざ押しかけてきてしまった場合は警察に通報します。
また、突発的なアクシデントに対応できるように、事前に勤務先にも事情を共有しておくことが重要です。
まとめ DV離婚を成功させるためのポイント
早期の専門家相談 DV離婚を検討している場合、早期に弁護士やカウンセラーに相談することが重要です。専門家の助言を得ることで、適切な手続きを迅速に進めることができます。
十分な証拠の準備 DVを証明するための証拠を十分に準備することが、離婚を成功させるための鍵となります。証拠を整理し、法的手続きに備えましょう。
「DVの被害に遭っている」ということは他人に相談しにくいものです。
このページを読んで分からないこと、聞きたいことがありましたらすぐにフォレスト法律事務所までご連絡下さい。
電話、メールの他、LINEでもご連絡いただくことが可能ですので、お気軽にご相談ください。





