初めての離婚裁判|手続きの流れと弁護士に依頼するべき理由

離婚の協議も調停もまとまらず離婚が成立しない場合に、最終的に行きつく手段が離婚裁判です。

この段階になると、離婚が長期間成立しないことへの不安やストレス、手続や法的な複雑さに不安を感じる方も多いでしょう。これら種々のストレス、不安に対応できる唯一の存在が弁護士です。

令和5年の司法統計によると、この1年間で終結した離婚訴訟の総数は約9000件のうち、双方に弁護士が付いていた件が6000件(約66%)、一方のみに弁護士が付いていた件が2900件(約32%)であり、双方とも弁護士が付いていなかった件が160件(約1.8%)であったことから、弁護士が関与しない裁判が圧倒的に少ないことが分かります。

離婚調停では、双方に弁護士が付いていない割合が全体の30%程度ですから、「裁判になる段階で弁護士に依頼しよう」と考えている方も一定数いるのではないでしょうか?

本ページは、離婚裁判を機に弁護士への依頼を検討している方、調停まで依頼していた弁護士を裁判をきっかけに変更したいと考えている方に向けて、離婚裁判の流れ、離婚裁判で弁護士が必要な理由について解説していきます。

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目次

離婚裁判とは

離婚裁判とは、夫婦間で離婚の合意に至らない場合に、裁判所に対して離婚を認めるか否かの判断を求める手続をいいます。

離婚裁判は、離婚の協議や調停が不成立となった場合に提起されるものであり、手続上、離婚を成立させるための最後の手段に位置付けられます。

調停前置主義とは?

離婚を希望する場合、最初から裁判を申し立てることはできず、まずは家庭裁判所で離婚調停を行う必要があります。

そして、調停が不成立となったの場合に裁判を提起することが可能となります。これを「調停前置主義」といいます

離婚裁判で請求できる内容(財産分与、親権、養育費など)

離婚裁判では、離婚自体を請求するほか、子どもの親権、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割などの離婚に付随する内容についても請求することができます。

離婚裁判の基本的な流れ

離婚裁判は訴状を裁判所に提出するところから始まります。裁判が終わるまでの大まかな流れを見ていきます。

① 家庭裁判所に訴状を提出

離婚裁判は、まず家庭裁判所に訴状を提出することから始まります。

訴状には、離婚の理由や離婚の際に求める条件が記載することが通常です。

裁判は、調停が終了した後に行われますので、訴状と合わせて離婚調停が不成立となった調書や夫婦それぞれの戸籍謄本などを提出する必要があります。

② 訴状の送達と第1回口頭弁論期日の指定

裁判所が訴状を受け取ると、第1回口頭弁論の期日が指定され、被告に訴状と呼び出し状が送られます。

被告は、第1回期日までに答弁書(訴状に対する反論を記載した書面)を提出します。

③ 裁判期日

第1回口頭弁論は、通常訴状提出から1か月~2か月後に行われます。

裁判では、提出された書面が確認され、次回の期日までに対応すべきことが確認されます。

裁判期日は、前もって提出された書面を確認することが主ですので、裁判期日が数分で終わってしまうこともあります。

④ 尋問

双方が主張や証拠を提出し尽くした時点で、原告と被告(場合によっては証人)の話を法廷で聞きます。これを尋問手続といいます。

尋問では、当事者が直接質問に答えることで事実関係を明らかにします。

⑤ 和解案の提示

裁判所から和解案が提示されることがあります。和解に応じれば、和解調書が作成されて裁判は終了します。応じない場合は判決を待ちます。

⑥ 判決の言い渡し

尋問終了後、約1〜3か月程度で判決が下されます。離婚が認められた場合、控訴期間(2週間)が経過すると判決が確定し、離婚が成立します。

⑦ 離婚届の提出

判決確定後10日以内に、原告は離婚届と必要書類を役場に提出する必要があります。これにより離婚の事実が戸籍に反映されます。

離婚裁判を始める前に検討すべきこと

いざ離婚裁判を始める前に最低限以下の点は確認、検討しておくことをお勧めします。

法定離婚事由の有無を確認する

民法上(民法770条)、裁判所が離婚を命じることができるのは以下の場合に限定されています。

  • 配偶者に不貞な行為があった場合
  • 配偶者から悪意で遺棄された場合
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでない場合
  • その他、婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合

(「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合」も原因とされていましたが、2024年5月の民法改正によりこの条項は削除されました。)。

この中で頻繁に問題となるのが、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうかについてです。

「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」というのは、夫婦の関係が修復できない程度に壊れてしまった状態をいいますが、明確な判断基準はありません。

典型的には、「長期間の別居」があると夫婦関係が壊れたとされますが、この「長期間の別居」が何年の別居が必要かも非常に難しい判断となります。

法定の離婚事由があれば、判決を求めることにより離婚を実現することができます。

他方、これが無ければ和解で離婚を目指すしかありません。

このように、法定の離婚事由の有無によって方針は大きく異なりますので、裁判を始める時点でこれらの事由の有無を把握しておく必要があります。

「どの裁判所で裁判をするのか」、「何をどこまで請求するのか」

離婚裁判は、相手の住所地だけでなく、自分の住所地を管轄する家庭裁判所でも行うことができます。離婚調停が、相手の住所地を管轄する家庭裁判所のみを管轄としている点と異なります。

相手の居住場所が遠方の場合、自分の住所地の裁判所を選択することになるでしょう。

他方、親権や面会交流など子どもに関する問題が争点となる場合で、相手が子どもと同居をしている場合、裁判所が子どもの調査をしやすいように、あえて相手の所在地の裁判所を選択することもあり得ます。

離婚裁判では、離婚だけでなく、親権、養育費、財産分与、慰謝料などの付随する条件についても裁判で争うことができます。親権を除く金銭請求については除外することもできるため、あえて財産分与や慰謝料を請求しないという選択をすることも可能です。

請求事由が多ければ裁判も長期化することになるため、何をどこまで請求するのかについては十分に検討した上で裁判を始めるべきだといえます。

離婚裁判に強い弁護士を選ぶ

離婚裁判を始めるにあたっては、上記のようなことをあらかじめ検討する必要があります。

判断には専門的な知識、経験が不可欠であり、離婚裁判に強い弁護士を選び、打合せを重ねながら裁判の準備を進めていかなければなりません。

経験豊富な弁護士は、過去の類似のケースや経験から、その時点で取り得る最善の策を導き出すことができます。弁護士が考える解決策は、あなたがこれまで気付かなかった最善手であるかも知れません。

離婚裁判の経験が豊富にあり、自分と相性の良い弁護士を探すことは簡単ではありませんので、時間に余裕を持って探すようにしてください。

離婚裁判で弁護士に依頼する必要がある理由

上でも見たように、大半の離婚裁判では弁護士を付けています。

このように多くの方が考えるのは、以下の事項に対応することが難しいことによります。

事前準備に専門知識が必要

上で見たように、離婚裁判の見通しや方針を立てることは経験豊富な弁護士でなければできません。

裁判が法律に従って進められること

離婚裁判では主張や証拠が双方から提出されることが続き、争点が絞られていきます。

毎回の裁判期日では、争点を整理するために、事実が確認され、次回までの準備事項が指定されますが、これらは人事訴訟法、民事訴訟法、民法など各種法律の規定に従って進められます。

弁護士でない限り、これらの法律を全て理解した上で期日に臨むことはできませんので、その場しのぎで対応をしていかなければなりません。

運よく乗り切れれば良いですが、弁護士が付いている側は法律を使って有利に話を進めようとするのですから、弁護士が付いている方が圧倒的に有利であることが分かると思います。

法的な知識があることを前提とした書面を提出する必要があること

裁判では、請求を基礎づける事実を主張、立証する必要がありますが、どのような事実を主張し、いかなる立証をすべきかは法律的な知識が不可欠です。

例えば、「悪意の遺棄」を主張したい場合、「悪意の遺棄」の意味自体は少し調べれば、悪意の遺棄の意味自体を知ることは可能でしょう。しかし、現実に起こっている事情のうち、どの部分を挙げれば「悪意の遺棄」が認定されるのかは難しく、この部分の判断をインターネットやAIで乗り越えるのは非常に難しいです。

このように、インターネットやAIの発展によって部分的な知識を得ることは容易となりましたが、それだけで全てに対処することはできず、かえって付け焼刃的な知識によって不利な状況を招いてしまい、相手を有利にしてしまうこともあり得ます。

離婚裁判を有利に進めるためのポイント

不利になる主張、証拠を出さない

相手の責任や自己の主張を裏付けるために、新たな主張を追加したり証拠を提出する場合、それがかえって自分にとって不利に働くことがないか注意をする必要があります。

感情的になって証拠を提出したり、相手を強く非難する内容の主張を行う場合、それが逆効果となることがあります。裁判では、冷静で論理的な主張が重視されるため、事実関係がはっきりしていない情報や立証したい事実と関連しない証拠を出すことは避けるべきです。

また、これまでの主張や証拠と新たな主張・証拠との間で矛盾が生じた場合、何が真実か分からなくなってしまいますので、かえって裁判官の心証を悪くする可能性があります。

主張や証拠を提出するという行為は、相手に対する攻撃だけでなく、自らに対する攻撃にもなりかねないため、「あえて主張や証拠を提出しない」という判断も必要となってくるのです。

優先すべき事情、譲れない最低条件から逆算して活動する

離婚裁判では、自分が何を最優先にしたいのか、譲れない最低条件が何であるかを明確にしておくことが非常に重要です。これをしっかりと整理することで、主張や証拠の提出、和解協議の方向性が見えてきます。

例えば、親権を最優先に考えており、経済的な条件にこだわりがないようなケースでは、親権に関する主張立証に注力すべきですし、親権以外の経済的な条件を譲歩することで親権を確保できるのであれば、金銭面で譲歩して親権を獲得する和解を成立させるということもあり得ます。

また、譲れない最低条件をしっかりと意識しておくことで、交渉や裁判の過程で迷いが生じにくくなります。相手の主張や提案に引きずられて、自分が望んでいた結果とは異なる合意に至ってしまうことを避けるためにも、あらかじめ自分の優先順位を明確にしておくことが重要です。

離婚裁判に関するよくある質問

離婚裁判で離婚が認められない確率はどの程度ですか?

令和5年の司法統計によると、離婚訴訟約9000件のうち、判決に至って件が約3600件、そのうち離婚が認められたケースが約3200件程度です。このほか、和解した件数が約3000件ありますが、その大半が離婚をした上で離婚条件を調整することにより和解が成立したケースであることが想定されますので、約9000件のうち6000件以上が離婚に至ったと考えられます。

離婚の裁判が申し立てられる背景事情は様々ですから、数字だけを見て確率が高い/低いと評価することに大きな意味はなく、具体的な状況に応じて裁判の当否を判断することが重要です。

離婚裁判で弁護士がいない割合はどの程度ですか?

令和5年の統計によると、離婚裁判で双方に弁護士がいない割合は全体の1.8%、一方に弁護士が付いていない割合は32%ですので、弁護士がいない割合は低いといえます。

離婚裁判で弁護士にかかる費用はいくらですか?

弁護士によっても、事件の内容によっても費用は異なります。

法律事務所によって、報酬額を明らかにしている事務所、公表していない事務所がありますので、公表していない場合は個別に問い合わせる必要があります。

フォレスト法律事務所の報酬基準は、こちらのページを参照ください。

弁護士をつけるのは裁判になってからで大丈夫ですか?

事情次第ですが、裁判から弁護士が入る場合、それまでにどのような経過があったのかを完全に理解することは難しく、見落としがないようにもれなく事情を把握することは簡単ではありません。

よって、裁判になってからではなく早い段階で対応を依頼することが望ましいです。

フォレスト法律事務所が離婚裁判で大事にしているポイント

フォレスト法律事務所は、離婚問題に関して豊富な実績を持っています。

これまでに原告側、被告側、男女の別を問わず、数多くの離婚裁判を対応し、親権や養育費、財産分与、慰謝料などの複雑な問題に対しても的確な対応を行ってきました。

離婚裁判は法的知識だけでなく感情的な負担も伴いますが、経験豊富な代表弁護士が全てのケースを一から担当し、お一人お一人の状況に合わせた最適なサポートを提供しています。

また、依頼者とのコミュニケーションを大切にしており、裁判に臨む際にはしっかりとした事前準備を行い、依頼者の不安や疑問を解消しながら進めていきます。

離婚裁判のご相談はお早めに

離婚裁判を有利に進めるためには、早期の対応が重要です。

フォレスト法律事務所では、初回相談を通じて、依頼者の状況に合わせた最適な戦略を提案します。裁判が始まってから弁護士を探すのではなく、事前に準備を整えておくことで取り得る戦略もあります。

無料相談も行っておりますので、離婚問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。LINEフォームまたはお電話にて、いつでもご予約を承っております。

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この記事を書いた人

フォレスト法律事務所代表弁護士。
弁護士資格の他、ファイナンシャルプランナー、証券外務員一種、宅地建物取引士の資格を保有しており、不動産を含む経済的な問題を得意としています。
離婚・男女問題について、豊富な経験をもとに分かりやすく解説します。

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