「離婚の切り出し方」切り出す前に最低限理解しておくべきこと

離婚は結婚の100倍大変」と言われることがあります。

結婚は将来の幸せに向けた大変さであることに対し、離婚は今後の「現実的な生活」に向けた苦労がある点で、結婚する苦労より離婚に向けた苦労が重いことは明らかです。

「何となく性格が会わないことが苦痛」、「毎日の口論が耐えられない」、「配偶者の不倫がどうしても許せない」・・・など、離婚したいと思うまでの経緯は人それぞれです。

このような悩みを持っている方に取って、「どのタイミングで離婚を切り出せばいいか」、「どのような方法で離婚を切り出せばいいか」ということは切実な問題です。

このような問題の解決はケースバイケースであり、確定的な答えを出すことはできませんが、解決の糸口を示すことがこのページの目的です。

離婚を切り出すべきか、すべきでないか」と悩んでいる時間をなくすべきであることは明らかです。

このページを参考にしつつ検討を重ね、解決できないようであれば、弁護士に相談されてください。

目次

離婚を切り出す前に準備すべきこと

離婚を切り出すに当たって、「どこまで準備をすべきか」ということを考えると思います。

万全な準備を心掛けるほど、いつまでも準備が完了せず、切り出せなくなってしまいます。

どこまでの準備が必要か」は、置かれている状況や希望する結論によって異なりますが、以下の観点から準備を進めてください。

① 離婚をしたい理由を整理する

離婚を切り出す前に「なぜ離婚をしたいのか」を明らかにしましょう。

言葉にすることは難しいかも知れませんが、他人にも説明できる程に明らかにできることが望ましいです。

逆に、「人に話をするほどでも・・・」、「そこまで強い思いではないけど・・・」と思われるのであれば、もしかすると離婚への思いがそこまで強くないのかもしれません。

この後ご説明しますが、いざ離婚を決意した後、離婚を実現するまでの間は大きなストレスが見込まれます。

離婚に対する思いがそこまで強くないのであれば、今一度考えてみて、今後の人生を見直してみることをおすすめします。

② 改善策がないかを考えてみる

離婚したい原因が明らかとなったら、次は改善策がないかを考えてみます。

一緒にいること自体が生理的に苦痛」というように、改善策が浮かびにくいこともあるでしょう。

他方「相手の暴言が酷い」、「金銭感覚が違い過ぎる」と言った場合はどうでしょうか?

相手が日常の態度を改めれば改善の余地がありそうです。

しかし、改善の見込みがあるかどうかは慎重に考える必要があります。

特に、結婚生活が長く続いた末に積もった不満であれば、改善することは容易ではありません。

改善まで長期間、付き合うことができるかを冷静に考えましょう。

③ 離婚後の生活をシミュレーションしてみる

離婚後は大きく生活が変わります。

結婚生活が長い方であれば、変化は非常に大きいでしょう。

お子さんがいる方であれば、学校の問題、離婚後の他方の親との関わり方を考える必要があります。

これまで収入がなかった方については、今後の生活費を稼ぐ手段があるか、財産分与で得られる財産以外でどの程度の収入が必要かを考える必要があります。

このシミュレーションをどこまですべきかは難しい問題です。

一般に、人は「将来発生する損失を回避したい」という考えが働き、リスクを大きく見積もる傾向にあるといわれています。

よって、シミュレーションの結果、リスクが大きいと思われても、客観的に見ればそこまで大きなリスクでないということがあり得ます。

他方、ポジティブな性格の方はリスク評価が小さくなり過ぎてしまい、実際に離婚した段となって「こんなはずじゃなかった」と思うこともあります。

離婚後の生活に不安を感じる方は、客観的な意見を述べることができる弁護士にご相談されることをお勧めします。

④ 離婚を打ち明けた場合の相手の反応をシミュレーションしてみる

離婚を考えているということを打ち明けた場合、相手がどのような反応をするか考えてみる(シミュレーションしてみる)ことが必要です。

恐らく、本ページをご覧頂いているということは、このシミュレーションをした結果、相手が激しく反応することを想定しているはずです。

シミュレーションした結果、冷静に話し合いをすることができないということであれば、別居をすること弁護士を交えた話し合いを検討する必要があるでしょう。

他方、感情的な話し合いが想定されないとしても、打ち明けた後の空気感が重くなってしまい、これに耐えられないということであれば別居を視野に入れる必要があるでしょう。

⑤ 法律的な知識の準備はケースバイケース

これから離婚の話しを進めるに当たって、親権、養育費、財産分与について、法律的にどのように判断されるべきか知っておくことは必要でしょう。

このような考えからインターネットで情報収集をする方は多いと思います。

しかし、情報収集をした結果、完全に「分かった!」と思えた方はいらっしゃるでしょうか?

大半の方は「なんとなく分かったけど、自分のケースではよく分からない」と思われているのではないでしょうか?

本ページを含め、全てのインターネット上の情報は、一般的な情報を紹介するものであり、個別の事情に合ったものではありません。

インターネット上の情報だけで処理できる事案は限られており、紛争性が高い事案や複雑な事情が重なっている事案では処理することは非常に難しいです。

また、インターネット上の情報で入れた知識はあくまで「付け焼き刃」のものです。

このような付け焼刃の知識を相手に伝えても説得力があるのかという問題もあります。

いくらそれが正しい知識であるとしても、伝えられた相手が納得しなければ意味のないものとなってしまいます。

よって、法律的な知識の準備は必要であるとは思うものの、これを突き詰めること自体は不要ではないか、と考えます。

相手に対し、法律的な考え方を大枠で伝え、その反応次第で進め方を考えるべきではないかと思います。

実際のご相談でのお話をお聞きしていると、双方がインターネット上で持ち寄った情報をぶつけ合い、紛争となってしまうことが多いようです。

インターネットに情報が溢れていることから、自分に有利な解釈をしてしまうことが原因かと思います。

膨大な情報を正確に処理することは一般に考えられている以上に難しいことです。

法的な情報が広く共有されることは望ましいことですが、適切に処理するために弁護士へのご相談を強くお勧めします。

実際のご相談でのお話をお聞きしていると、双方がインターネット上で持ち寄った情報をぶつけ合い、紛争となってしまうことが多いようです。インターネットに情報が溢れていることから、自分に有利な解釈をしてしまうことが原因かと思います。膨大な情報を性格に処理することは一般に考えられている以上に難しいことです。

法的な情報が広く共有されることは望ましいことですが、適切に処理するために弁護士へのご相談を強くお勧めします

どの段階・タイミングで切り出すべきか

ここまで、離婚の話しを切り出すまでの準備事項についてご説明してきました。

ここからは「いざ切り出すタイミング」についてです。

結論ですが、切り出すタイミングは「自分が切り出さなければ後悔すると思うタイミング」です。

少し抽象的なので詳しく解説します。

離婚を切り出さない場合、そのまま今の生活が続いてしまいます。

他方、離婚を切り出すということは、これまでの生活に大きな変化を生み出すことになります。

この変化は、ポジティブにもネガティブにも作用してしまいます。

そして、この変化は実際に切り出してみない限り、誰もどうなるか予想することはできません

よって、切り出すタイミングの正解はありません

ただし、切り出さなければ進展せず、今の状態が続くことを考えると、「「今」切り出さなければ、将来(1年後、5年後、10年後の自分)後悔すると思うタイミングが切り出すタイミングといえるでしょう。

実際にどう切り出すか

ここまで、離婚の話しを切り出すまでの準備、タイミングについて解説しました。

ここからは、実際に切り出す方法について解説していきます。

① 対面での話し合い

面と向かって話しをしてみる方法です。

飾らないあなたの言葉を伝えるという点では、あなたの思っていることが一番伝わりやすい方法といえるでしょう。

② メール・LINE

冷静に自分の考えや思いを伝えたいと思う一方、直接話しをした場合に感情的になってしまうことが想定される場合は、メールやLINEで思いを伝える方法が考えます。

メールやLINE等の文書は、自分が思っている以上に冷たく受け取られる可能性がありますので、どのような文章を送るかは検討が必要でしょう。

③ 親族を交えた話し合いは?

直接の話合いや、、メール・LINEを通じた連絡は「1対1」のやり取りであるため、どうしても感情的になってしないます。

そこで、双方の両親や親族を交えた話合いをすることはどうでしょうか?

結論ですが、ケースバイケースによって異なります。

誰が見ても結論が一つに決まるような場合であれば、誰が見ても結論が同じですから、話合いの参加者が多くなることはポジティブに考えられます。

そうでない場合、話合いの参加者が多くなるほど話し合いも激しくなってしまいます。

状況によって、話合いの参加者は吟味する必要があるでしょう。

切り出すにあたって気を付けるべきポイント

離婚を切り出す際に気を付けるべきポイントは以下のとおりです。

① あくまで、「相手の理解」を得ることが目標であることを意識する

今後、離婚調停、離婚裁判を想定しないかぎりは、相手の理解を得られない限り離婚は成立しません。

よって、あくまで相手の離婚が得られない限りは離婚が成立しない限り離婚は成立しないということが重要です。

「理屈で考えれば自分の言い分が正しい」と思っている方は相手を論破しようとしてしまう傾向があります。

しかし、仮に論破できたとしても相手が離婚に応じると思わなければ離婚は成立しません。

相手の理解を得るためにはどうすればいいか」を考えましょう。

② 双方の意見が一致しない点を把握することに努める

離婚したいと思う以上、双方の意見や考え方が一致しないことは当然です。

問題は「どの点で意見が一致しないか」を把握することです。

離婚の問題といっても、親権や監護権というお子さんの問題もあれば、財産分与や慰謝料といった金銭的な問題もあります。

養育費はお子さんと金銭的な問題の両者を兼ねるものといえます。

意見が一致しない点に絞って協議をするよう努めれば、協議がスムーズに進むでしょう。

③ 結論を出すことを急がない

このページをご覧になっている方は、離婚をしたいと強く思っていることを強く希望している方だと思います。

離婚という結論を出すこと自体は簡単ですが、それに伴うデメリットも小さくありません。

一時の感情で動き出すのではなく、迷いのないところまで考えぬき、迷いがなくなった段階で離婚に踏み出すべきです。

自分一人で考えても迷いが消えないのであれば、まずは弁護士など専門家に相談すべきです。

よくある質問

① 離婚を強く希望していますが、離婚を切り出した後のことを想像すると怖くなってしまい、切り出せずにいます。どうすればいいですか?

離婚を切り出すと言うことは簡単なことではなく、切り出した後のことが恐ろしくなってしまうことは通常のことです。

想像されている事態にもよりますが、ご自身で収拾が付かないのであれば弁護士にまずは相談した上で対処してください。

② 夫(妻)が浮気をしていることが分かりました。相手が一方的に悪いのに離婚の話合いが進みません。どうすればいいですか?

残念ながら、世間一般の常識の「良い・悪い」の通り事態が進展するとは限りません。

むしろ、「良い・悪い」という感情が強いと、その通りに事態が進展しないことに強いストレスを感じてしまいます。

「良い・悪い」という感覚は抑えて、冷静に対処されることをお勧めします。

弁護士に相談するタイミングはいつか?

ここまで、離婚を切り出す時期、方法について解説してきました。

離婚を切り出すタイミング・方法は弁護士とっても難しい問題であり、本ページを読まれても悩みを持たれる方がいらっしゃると思います。

そのような方は迷わずに弁護士にご相談ください。

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