タイムカードによって労働時間が管理されていない場合、手持ちの証拠で労働時間を証明する必要があります。
このページでは、Googleマップのタイムラインを使って労働時間を証明しようとする際の注意点をご説明します。
タイムラインは、使い方によっては非常に有益な証拠となりますが、使い方を誤ると労働時間を証明することができないばかりか、逆にサボっていたという印象を持たれかねません。
現在、勤務先の会社でタイムカードが導入されていない方も、本ページを参考にして、自分の労働時間を記録してみてください。
1 タイムラインとは何か?
Googleマップのタイムラインは、位置情報を記録し、訪れた場所とルート、時間をGoogleマップ上に表示する機能のことです。
なお、マップを利用しているだけでは位置情報は記録されません。
位置情報を記録するためには、「位置情報サービス」をオンに(iphoneの場合)、「ロケーション履歴」をオンに(Androidの場合)しておく必要があります。
位置情報は自身でのアカウントからしか閲覧することはできませんので、他の人に行動が公開されることはありません。
移動経路や滞在場所は、この写真のように記録されます。
2 タイムラインの使い方
タイムラインは、自分のGoogleアカウント上で閲覧することが可能です。
これを弁護士に見せたり、裁判所に提出する場合、アカウントごと開示することは好ましくないため、1日ごとの画面をpdf形式で保存し、紙に印刷することで開示することが可能となります。
残業した日数が数百日ある場合、この作業だけでも大変ですので、請求を考えられている方は少しずつ準備をしておくことをお勧めします。
3 タイムラインの注意点
タイムラインは、GPSを利用して位置情報を記録するものですが、100%正確な位置を記録することはできません。
「通ったことのない道を通っている」、「同じ場所を数時間もぐるぐるしている」など、一見して不自然な記録も残念ながら残ってしまいがちです。
このような誤作動が起きている範囲が少ないのであれば、思い切ってその部分は無視してしまうということも考えられます。
また、当日の業務内容がある程度確かであれば、業務内容と照らしてタイムラインの誤作動を正していくという作業も可能です。
例えば、10キロメートルの道路を2時間かけて自動車で走行している記録が残っていた場合、時速5キロで走行していたことになりますので、信号待ちを考えても明らかに不自然です。
しかし、この10キロの中に、訪問した場所が1か所あり、そこでどのような業務を行い、どの程度滞在していたかが分かれば、移動時間を修正することも可能となります。
4 まとめ
以上、残業代請求でタイムラインを使用する場合の注意点をご紹介しました。
タイムラインを証拠として使用するのはタイムカードのように明確な証拠が存在しないケースが多いように思います。
タイムラインは、完全に正確な位置情報を記録できるわけではないという弱点はあるものの、タイムカード等がないケースでは重要な証拠となり得ます。
タイムラインを証拠として使用する場合、移動時間、移動経路をくまなくチェックする必要があるため、必要となる事務作業量は膨大であり的確に処理をしなければせっかくのデータも宝の持ち腐れとなってしまいます。
フォレスト法律事務所では、タイムラインを証拠として扱ったケースが複数ありますので、お預かりしたタイムラインを的確に処理するノウハウを持っています(タイムラインを使用した解決事例はこちらをご覧ください。)
タイムラインの使用をお考えの方はフォレスト法律事務所までご相談ください。