・50代男性
・自動車販売店店長
・労働審判で1000万円以上の残業代を獲得
ご相談~ご依頼
Aさんはある自動車販売店の店舗に入社し長年懸命に働きました。
店長職に就き、定年まであと数年という状況でした。
会社は、各店舗に対し厳しい営業ノルマを課していたため、各店舗の店長はノルマ達成に苦労していました。
ノルマ達成の方法の一つとして歴代の店長は、顧客へのキックバックを内々に行っていました。
Aさんも、歴代の店長と同様の方法でノルマを達成してきましたが、突然、会社はAさんのキックバックを問題視し、懲戒解雇処分にしました。
懲戒処分となったことで、Aさんは数年後に受け取るはずであった退職金を一切受け取ることができなくなりました。
Aさんは、懲戒処分を争うべくフォレスト法律事務所に相談。
このご相談の中で、Aさんがこれまで一切残業代を受け取っていないことが判明しました。
そこで、Aさんは解雇の無効と共に未払い残業代の支払いを求めることにしました。
弁護士の活動
① 会社との交渉
弁護士が、内容証明郵便で解雇処分の撤回と未払い残業代の支払いを求めました。
会社は「解雇は有効である」、「Aさんが管理監督者に該当するため残業代の支払い義務はない」と反論。
会社のいずれも杓子定規な不合理なものであったため、詳細に反論をしたものの、当方の主張を認めれば会社は数千万円の追加支出を余儀なくされるため、会社は一歩も譲る気配を見せませんでした。
議論は平行線のままであったため、Aさんは早期の復職及び残業代の支払いを求めて労働審判を申し立てることとしました。
② 労働審判
労働審判では、懲戒解雇が解雇権の濫用に当たること、Aさんが管理監督者に該当しないことを重点的に主張しました。
裁判所の心証は、解雇については残念ながら有効であるというものでした。
裁判所の判断は納得できるものではなかったですが、仮に解雇が有効であるとしても退職金は満額支払われるべきであると訴えました。
また、店長職が管理職に該当するとの会社側の主張は認められませんでした。
以上を踏まえ、会社がAさんに対し、ほぼ満額の退職金に加え、未払いの残業代として1000万円以上の金銭を支払うとの内容で和解が成立しました。
本件のポイント
① 管理監督者について
「店長」、「課長」など役職に就いていた方が残業代を請求するケースでは、会社側が管理監督者に該当する(=残業代が発生しない)という主張をしてくる場面が多くみられます。
管理監督者に該当するかどうかは、様々な事情を考慮し実質的に判断されるので「役職者=管理監督者」と単純に判断することはできません。
管理監督者については、以下のページで詳細に解説をしているため、ご参照下さい。
②(懲戒)解雇について
Aさんは懲戒解雇をきっかけとして弁護士に相談した結果、長年にわたって残業代が未払いであることが発覚しました。
このように、解雇がきっかけとなって残業代の請求につながることは少なくありません。
解雇の問題でお悩みの方は残業代の未払いについて目を向けてみてもいいでしょう。