・50代女性
・病院の夜間受付
・裁判で1000万円以上の残業代を獲得
ご相談~弁護士への依頼
Aさんは病院の夜間受付業務を担当されている方です。
Aさんの仕事は、病院の夜間受付業務の他、医師、看護師の補助をする業務でした。
職場は慢性的な人手不足であり、日勤、夜勤問わず、Aさんがシフトに入らなければ仕事が回らない状態でした。
数か月の間、Aさんは日勤夜勤を毎日行い1日も休日がないような状態。過労で倒れないことが奇跡のような状況でした。
このような働き方をしていたにもかかわらず、Aさんに対し残業代は一切支払われていませんでした。
Aさんは同じ病院で働き続けることを希望していたため、在職しながら弁護士に依頼をして、残業代の請求と待遇の改善を求めることにしました。
弁護士の活動
① 交渉
弁護士が依頼を受けた後、すぐに内容証明郵便を発送し未払い残業代を会社に請求しました。
しかし、会社からの返答はありませんでした。
請求が無視されたままとなってしまうことが考えられたため、Aさんは裁判を申し立てることにしました。
② 裁判
裁判では、未払残業代の他、過労死基準を超える働き方をさせられたことについての慰謝料を請求しました。
Aさんは、裁判を申し立てた後も勤務を続けていましたが、残業代は支払われないまま。
Aさんは、仕事を継続したいご意向であったため、今後の残業代や休日に関する取り決めをし、早く平穏な状態を取り戻す必要がありました。
裁判手続の中で、会社側の代理人と協議を重ね、未払いとなっていた残業代と遅延損害金として1000万円以上の解決金を支払うとともに、Aさんはこれまで通り仕事を続け、法律に従った残業代を支払うことを誓約する内容の和解が成立しました。
本件のポイント
① 在職中の請求
Aさんのように在職したまま会社に残業代を請求する方もいらっしゃいます。
在職中の請求となると「会社から嫌がらせをされるのではないか」、「仕事がしにくくなるのではないか」という不安を持たれるかと思います。
確かに、請求をしたことによって、会社との間で気まずい雰囲気となってしまうことはあるかもしれません。
しかし、明確な嫌がらせをされるようなことがあれば、すぐに弁護士が止めるように求めますので、過度な心配は無用です。
残業代は3年間の時効にかかってしまうため、時効で残業代が消えてしまうデメリットと上記不安のバランスを考え、請求の可否を決めましょう。
なお、Aさんのケースでは、連絡事項はすべて弁護士宛てに行うということを徹底していたため、Aさんと会社が本件のやり取りをすることはなく、裁判中であっても従前どおり仕事をすることができました。
② 過重労働と残業代請求
Aさんの職場のように、人員不足から過重労働を強いられるケースが散見されます。
過重労働によって病気になってしまったような場合には、残業代の他、慰謝料を請求することも検討しましょう。
慰謝料の請求は、過重労働と病気の間に因果関係があることを証明しなければならず、その証明は容易ではありませんが、証明できる資料がないか検討する必要があります。