- 20代女性
- 飲食店
- 裁判で400万円の解決金を獲得
ご相談~弁護士への依頼
Aさんは日本料理店で調理師として勤務していました。
Aさんが勤務していた店は、老舗の格式ある料理店で、季節ごとにメニューが替わり、一つ一つの料理もそれぞれ手間をかけて作られていました。
Aさんは、料理店での勤務経験はありませんでしたが、修行を積みながら調理の腕を磨き、一人前になる決意をもって入社しました。
Aさんは、早朝の仕入れから閉店後の自主的な調理を行うなど、血のにじむような努力を重ねた結果、Aさんが考案した料理が採用されるまでになりました。
しかし、調理師が複数退職してしまったことにより店舗は慢性的な人手不足となりました。
Aさんにかかる負担は増え、労働時間は日に日に増えていきました。
しかし、Aさんに対しては一切残業代が支払われることはありませんでした。
そこで、Aさんは店舗を退職し、フォレスト法律事務所に残業代の請求を依頼しました。
弁護士の活動
① 交渉
Aさんの労働時間はタイムカードに記録されていたため、まずはタイムカードに基づいて未払い残業代を算定し、支払いを請求しました。
これに対し、会社は、「Aさんが調理業務をしていなかった。」、「手際が悪く、タイムカードに記録された時間ほど働いていなかった。」、「基本給には残業代が含まれており、未払いの残業代はない」と反論しました。
Aさんが調理業務を行っていたことを示す証拠は多数あり、会社に証拠を示したものの、会社は「調理をしていない」の一点張り。
半年間交渉を継続しましたが、会社の態度が一向に変わらなかったため、Aさんは裁判を申し立てることにしました。
② 裁判
「Aさんが調理業務を行っていたか」についてが重点的に争われました。
Aさんは、自分が作った料理を撮影した写真、料理の研究ノートなどを保管していました。
これらの資料を使い、Aさんが調理業務を行っていたことを主張しました。
会社は激しく反論したものの、最終的にはAさんが調理業務を行っていたことを認めました。
裁判を申し立ててから1年以上が経過していましたが、最終的には当初の請求元金以上の金額が支払われる内容で和解が成立しました。
本件のポイント
労働者側にとって、争いとならないだろうと想定した事実が大きく争われることがあります。
Aさんのケースでは、Aさんが調理業務を行っていたことは明白であり、Aさんとしても、まさか自分が調理業務を行っていなかったと言われるとは思いませんでした。
裁判では、自分にとって当たり前のことであっても、根気強く主張・立証を行っていく必要があります。
Aさんは証拠収集の他、各料理の調理手順などを細かく説明してくださったことから、弁護士も効果的な主張を行うことができました。