・50代男性
・運送業(配達)
・タイムカードなし
・労働審判により500万円の残業代を獲得
ご相談~弁護士への依頼
Aさんは、飲食店に卸すおしぼりを配達する仕事を行っていました。
早朝から深夜まで休みなく仕事を行っていましたが、残業代は一切払われていませんでした。
退職した後、一切残業代が支払われていなかったことを疑問に思い、Aさんはフォレスト法律事務所に相談をしました。
会社はタイムカードを設置していませんでしたが、毎日の配達時間を記録した日報が作成されていました。
弁護士が日報を確認したところ、未払残業代が発生している可能性が高いと考えられました。
Aさんは、フォレスト法律事務所に依頼して残業代を請求することにしました。
弁護士の活動
① 交渉
弁護士が日報を基に未払い残業代を計算したところ、未払い額は500万円程度となりました。
会社に支払いを請求したところ、会社は「新型コロナウイルスの影響で仕事が減ってしまい支払えない」、「Aさんに対して入社する時点で残業代が発生しないことは説明しており、了承していた。残業代は発生しないはずである。」と主張しました。
会社の主張は到底受け入れられるものではありませんでしたし、法律的に認められるものでもありません。
弁護士から会社に対し、法律の仕組みを説明したものの、会社側の意向は変わらなかったため、Aさんは労働審判を申し立てることにしました。
② 労働審判
労働審判を申立てた後、会社側に代理人が就任したことから、審判前に交渉を行いました。
会社の代理人は、一転してAさんの主張を全面的に認め、当初の請求額である約500万円を支払うとのことで合意ができました。
労働審判期日が始まる前に合意ができたため、労働審判ではこの合意内容を確認し、合意内容通りの調停が成立しました。
本件のポイント
① 「業績が悪いから支払いができない」という主張
本件は、新型コロナウイルスによって、休業や時短営業が増え、その影響が大きく出ている際のケースでした。
新型コロナウイルスに対する規制が段々緩和されてきましたが、まだまだ事業への影響はなくなっていません。
コロナ前から会社が「お金がなくて支払えない」と主張することはありました。
しかし、本当は支払余力があるにもかかわらず、資力がないことを理由に減額を求める会社が存在することも事実です。
本当に支払えないかどうかの見極めは非常に難しいですが、会社の言い分を鵜呑みにせず、客観的に支払い能力を判断することが重要です。
② 労働審判と裁判の選択
交渉が決裂した場合、労働審判を申し立てるか、裁判を申し立てるかを選択することになります。
Aさんのケースでは労働審判の申立てを選択しました。
裁判、労働審判、どちらの手続も一長一短あるため、手続選択に当たってはこのメリット・デメリットをよくよく検討した上で行う必要があります。
労働審判と裁判の特徴については以下の解説ページををご覧ください。