1 外すべきではないポイント4選
まず、どのようなケースであっても外せないポイントについて解説します。
①話をしやすいか(相性の問題)
私の私見ですが、「話をしやすいか」という点は、最も重要な要素と考えます。
弁護士も人間ですので、合う合わないの相性は絶対的に生じます。
そして、残業代請求に限らず、法律問題では、依頼者と弁護士が何度も打ち合わせを重ねることになります。
打ち合わせを行う度に、「話をしにくい」と感じれば、必要な情報も伝えられなくなってしまいます。
特に、コミュニケーションが必要となるのは労働審判・裁判の場面です。
労働審判、裁判では、具体的な仕事内容を分かりやすく整理し、説明することが求められます。
例えば、「レジ締め作業」というよく見られる業務を1つとっても、「誰が行うのか(正社員しかできないのか、アルバイトでもできるのか)」、「いつ行うのか(客がいる間でも行えるのか、複数回行うのか)」、「レジ締め後の現金はどのように管理するのか」など。
具体的な仕事内容を説明するだけでも、相当な情報量が必要となります。
「話をしにくい」と感じている弁護士に対して、膨大な情報を伝えることは苦痛ですよね。
よって、話しやすさ(相性の問題)は最も重要な要素といえると考えています。
話をしやすいかどうかは、初回の法律相談の際にある程度分かるかと思います。
不安があれば何度かやり取りしてみることをお勧めします。
②残業代請求について解決実績を有しているか
医師に専門分野があるのと同じく、弁護士にも得意/不得意分野があります。
残業代請求は専門性のある分野であり、弁護士であれば誰でも処理できるというものではありません。
そこで、相談(依頼)しようとする弁護士が残業代請求を得意としているかどうかを見分ける必要があります。
見分ける方法として最も分かりやすいのは、その弁護士の解決事例を見てみることでしょう。
インターネット上で解決事例を紹介している場合には、「自分のケースと類似した事例がないか」、「どのようなことをしてくれるのか」を見てみましょう。
なお、インターネット上で解決事例を紹介していないからといって、解決実績が存在しないということではありません。
仮に、インターネット上で事例が紹介されていない場合でも、相談をされるにあたっては、自分のケースと類似した事例を取り扱った経験があるかを確認されることをお勧めします。
なお、フォレスト法律事務所では、これまでに解決してきた事例の一部についてをご紹介をしていますので、是非ご参照ください。
③不利なこと・今後の見通しを説明してくれるか
どのようなケースであっても、万事うまく行くとは限らず、何かしらの不安・不利な点が存在するものです。
事前に不利な点が明確に挙げられ、その不利な点をどのように克服していくかが説明されることは重要であるといえます。
もちろん、証拠が十分に整っており、主張も万全である場合は、不利な点を無理に探す必要はありません。
また、最初の相談の段階で「解決までの見通し」を説明してくれるかどうかも重要です。
もちろん、予測が完全に当たることは少ないものの、「このような主張をすると、会社が●●という反論をしてくるでしょう。」、「この反論に対しては、●●という反論をしましょう。」というように数手先を読んだ案内があれば、相談者としても今後の予測ができ安心できます。
④報酬についての説明が分かりやすいか
最初に依頼をする段階では、交渉で解決するのか、裁判まで進展するのかは分かりません。
しかし、依頼をする最初の段階から費用がどの程度かかるのかを把握しておくことは重要です。
「着手金が発生するのか」、「労働審判や裁判となった場合の報酬割合がどうか」が明確で、「裁判まで行ったら●円かかる」という目処を立てられるようにすべきでしょう。
「結局いくらかかるのか分からない」という状態で依頼をすることはやめるべきです。
2 場合によっては重要となる2つのポイント
どのようなケースでも当てはまるわけはないものの、場合によっては重要となるであろうポイントについて記載します。
①法律事務所の場所(家から/職場から近いかどうか)
「勤めていた会社が北海道だったが、退職して、現在は沖縄県に住んでいる」といった場合、どこの法律事務所に相談すべきかは悩ましい問題です。
この問題は「法律事務所にどの程度、足を運ぶ必要があるか」という視点で考えてみると結論が出やすいです。
弁護士との打ち合わせを行う方法としては、「電話」、「メール」、「webツール(LINE、Zoomなど)」、「対面」があります。
仮に、対面以外の方法で打ち合わせを行うことができるのであれば、場所的な問題はそこまで大きな問題とはならないでしょう。
現に、フォレスト法律事務所では、過去に東京、大阪、京都、福岡、熊本など遠方にお住いの方からご依頼をお受けしてきましたが、対面回数を抑え、打ち合わせを重ねることで解決に至っています。
逆に、「対面でなければ安心できない」、「証拠の分量が膨大で、対面の打ち合わせが避けられない」というケースであれば、近隣の法律事務所が好ましいでしょう。
なお、裁判や労働審判を行う裁判所が法律事務所から遠方の場所にある場合、遠距離日当や交通費が発生するため、そのような場合にどの程度の費用が発生するかをあらかじめ把握しておく必要があります。
②法律事務所の規模
1つの事務所に数十人の弁護士がいる大規模な事務所から、フォレスト法律事務所のように弁護士が1名だけの小規模な事務所まで、法律事務所の規模は様々です。
私自身、大規模事務所に在籍していたことがありますが、「規模の大小の影響はそこまでない」と思います。
大規模な事務所であっても、実際に対応する弁護士は1人から2人となるため、規模の大小がダイレクトに有利・不利に結びつくことは少ないです。
なお、ケースによっては、複数人の弁護士で対応せざるを得ないものもあります。そのようなケースでも、他の事務所の弁護士と共同して事件処理を行うこともあるため、規模の大小によって対応できる事件に違いはありません。
規模の大小が直接影響するケースとしては、①で挙げた場所的な問題が大きいケースです。
全国展開するような大規模事務所であれば、場所的な問題を解決することが可能となり、この点はフォレスト法律事務所のような1人事務所にない大きな特長といえます。
3 まとめ
ここまで、弁護士から見た弁護士選びのポイントを解説してきました。
この解説で挙げたポイントの他、気になる事項が出てくることもあると思います。
その際は、「●●の点はどうですか?」と直接弁護士に聞いてしまうことが一番です。
今回の解説を参考にしながら、ご自分に合った弁護士を選んでもらえれば嬉しいです。